INTRODUCTION

たったひとりの若者が世界中を震撼させた!史上最大の内部告発“スノーデン事件”の衝撃的な真実

 それは、まさしく世界中に激震が走った瞬間だった。2013年6月、イギリスのガーディアン紙が報じたスクープで、アメリカ政府が秘密裏に構築した国際的な監視プログラムの存在が暴露されたのだ。さらに驚くべきは、ガーディアン紙に大量の最高機密情報を提供したのがたったひとりのNSA(米国国家安全保障局)職員であり、よくスパイ映画に登場するような厳めしく年老いた人物ではなく、ごく普通の外見をした当時29歳の若者だったことだ。

 匿名ではなく自らカメラの前に立ち、エドワード・スノーデンと名乗って素性を明かしたその青年は、なぜNSAやCIAから得られる多額の報酬と輝かしいキャリア、恋人と築き上げた幸せな人生のすべてを捨ててまで重大な告発を決意したのか。はたして彼は英雄なのか、国家の裏切り者なのか。ハリウッドきっての社会派の巨匠オリバー・ストーンが史上最大の内部告発“スノーデン事件”の全貌に迫った問題作、それが『スノーデン』である。

 2004年、9.11後の対テロ戦争を進める祖国アメリカに貢献したいと考えて軍に志願入隊したスノーデンは、足に大怪我を負って除隊を余儀なくされる。失意のさなかCIAに採用された彼は、持ち前のずば抜けたコンピュータの知識を教官に認められ、2007年にスイス・ジュネーヴへ派遣された。しかしそこで目の当たりにしたのは、アメリカ政府が対テロ諜報活動の名のもと、世界中のメール、チャット、SNSを監視し、膨大な情報を収集している実態だった。やがてNSAの契約スタッフとして東京の横田基地、ハワイのCIA工作センターへと赴任し、民主主義と個人の自由を揺るがす政府への不信をいっそう募らせたスノーデンは、恋人のリンゼイをハワイの自宅に残し、命がけの告発に踏みきるのだった……。

スノーデンとは英雄か、それとも国家の裏切り者か?自由を愛し、恋人を想い、すべてを捨てた若者の実像に迫る

 映画は2013年6月、ハワイのオフィスでNSAの最高機密を盗み出したスノーデンが、香港の高級ホテルでドキュメンタリー作家のローラ・ポイトラス、ガーディアン紙のコラムニスト、グレン・グリーンウォルドと初めて対面するところから始まる。その密室での異様な緊迫感に満ちたやりとりは、アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞した『シチズンフォー スノーデンの暴露』に克明に記録されているが、本作はそこから9年前にさかのぼり、コンピュータのオタクであり、国を愛する平凡な若者だったスノーデンが、恐るべき現実に理想を打ち砕かれていった過程を映し出す。

 アメリカの情報収集プログラムはテロリストだけでなく民間企業や個人におよび、日本を含む同盟国まで対象になっていた驚愕の事実の数々。加えて、スノーデン自身が私生活を監視される恐怖に襲われ、ストレスに蝕まれていった極限心理が生々しいサスペンスとともに描かれる。テロとは何の関係もないインターネットや携帯電話での発言、個人の趣味、愛情、友情さえも脅かされかねない現実はもはやSFではなく、スノーデンが世界最強の情報機関に反旗を翻した動機もまさにそこにあった。

 また本作は、長年にわたってスノーデンのパートナーとして寄り添うリンゼイ・ミルズとの出会いと、その後の軌跡を描出。思想や趣味はまったく異なるふたりが幾多の試練に直面しながらも、共に人生を歩んでいくことを確かめ合い、かけがえのない絆で結ばれていく姿に胸を締めつけられずにいられない。史上最大の内部告発者スノーデンが実は日本のカルチャーに興味を持っていた意外な一面など、プライベートの領域にも深く切り込み、観る者の共感を誘うヒューマン・ドラマに仕上がった。

社会派の巨匠オリバー・ストーンのもとに、ハリウッドのトップスターと名優たちが集結!

 『(500)日のサマー』『インセプション』『ザ・ウォーク』などで日本でも多くのファンを獲得している若き実力派俳優ジョセフ・ゴードン=レヴィットの渾身の役作りも見逃せない。スノーデン本人と見まがうほど瓜ふたつの風貌、声色、仕種をマスターするとともに、内部告発者としての崇高な信念、ナイーヴなひとりの青年としての心の機微を表現したその演技は、あらゆる観客の目を釘付けにするに違いない。

 恋人リンゼイに扮するのは、『ダイバージェント』シリーズや『きっと、星のせいじゃない。』でハリウッドの若きスター女優となったシャイリーン・ウッドリー。『ザ・ファイター』でアカデミー賞助演女優賞を受賞したメリッサ・レオ、『スター・トレック』シリーズのスポック役で知られるザカリー・クイント、『イン・ザ・ベッドルーム』『フィクサー』でアカデミー賞にノミネートされたトム・ウィルキンソン、『ノッティングヒルの恋人』のリス・エヴァンスといった名優と曲者たちが脇を固め、ニコラス・ケイジがCIAの指導教官役で登場する。

 『プラトーン』『7月4日に生まれて』で二度のアカデミー賞監督賞に輝き、『JFK』『ニクソン』『ブッシュ』というアメリカ大統領をテーマにした3本の問題作を発表してきたオリバー・ストーン監督が、今回映画化に挑んだ原作はルーク・ハーディングのノンフィクション「スノーデンファイル 地球上で最も追われている男の真実」。“自由な世界”への純粋な信念に突き動かされ、命がけで国家権力に立ち向かうスノーデンの生き様を力強く描き上げた。『スラムドッグ$ミリオネア』『ラッシュ/プライドと友情』の撮影監督アンソニー・ドッド・マントルが、ドキュメンタリーの手法を交えて創出した臨場感あふれる映像も秀逸である。